2016年06月17日

ファンハウス

 ハロウィンの夜、収監中の連続殺人犯5名が大挙脱走する。
 彼らが潜り込んだのは、自身の犯行をテーマとしてオープンしたファンハウスで……。
 
 という、まあありそうな設定ながら、シリアルキラーを5名+1名も集めてみました、というところがアメコミ原作モノ映画みたいな、なんとなくお得感な一作。
 正直6名も集まると全員の個性がくっきり、というわけにもいかず、加えて犠牲者の若者7名と女性保安官に保安官補、と91分の尺にしては登場人物も多目なので、やや駆け足な感は否めない。
 いっそ、これだけ殺人者と被害者を出すならば、山田風太郎よろしくサイコキラーとおバカ若者が、一人一人相討ちになって散っていくような趣向があれば面白かったと思うのだが、いや、もしかしたら、すでにどこかでそんな作品も撮られていそうな気もするが。
 
 それはともかく。
 たしかにシリアルキラーの個性は、一人で看板を張るにはやや弱いもののそれなりに立てられているし、有能な女性保安官とトンマな保安官補、清純派とビッチの二人の女性、リア充、映画オタク、と、ひととおりの定番キャラも揃えてみせているあたりは、きちんとジャンルの基本を押さえて手際が良い。
 また、ゴアなシーンはCGではなく特殊メイクに拠っているようだが、映像は田舎ホラーにありがちな血生臭さ漂うものなので、そういったややチープな手法がよくなじんでもいる。こういった、予算の限界がみえそうな箇所を画によって巧みに説得力を持たせているシークエンスは少なくなく、フィルモグラフィーははっきりとしないのだが、かなりジャンルを知悉し、愛着を抱いている監督なのではないか、という印象を持った。
 難を言うならば、出演者にあまり見目麗しいタイプが少なく、スタイリッシュな美しい画を求める種類のホラーマニアには口に合わないかも知れない。
 同じ邦題の、トビー・フーパーによる『ファンハウス』とは、ストーリーは全く似ていないが、血汁の溜まりから、ゴポリと笑いがはぜるような厭な感覚には、共通するものがありそうに思う。
 
 低予算ながら頑張って娯楽作品の枠を守ったつくりは、個人的には好感を持った。★2つ。
posted by Sou at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画:ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする