2016年01月11日

MAMA

 ギレルモ・デル・トロ制作による米・西合作のホラー。
 
 心中を意図する父親によって連れ去られるも、その手にかかることなく、山林の中で生き延びた幼い少女二人。5年の後に奇跡的に保護された彼女たちを引き取ったのは、若き叔父夫婦だったが……という導入部。
 有名なオオカミ少女伝説(こちらも女の子二人)を想起させられる設定なのだが、問題は少女たちを育てていたのがオオカミよりもよほどやっかいな……というところ。
 
 こういう設定は、巨大な自然の残るアメリカでなければ成立しなかったことだろう。日本でやったのでは、リアリティが失われそうだ。
 もっとも、それでありながら「MAMA」のヴィジュアルは、東洋人風であり、その不気味さのテイストにもJホラーの影響が見て取れるように思われた。
 いまさらにJホラーと言うのも、であるし、加えてCGがグリングリンと威力を見せ付けてくれるのも、やや、これじゃない、感あり。なんというか、うそ臭いのが明らかでも、白い服を着た長い髪の女を実写で使い、CGはそれに効果を加えるサポートに徹した方が、と思ってしまうのは、あるいは着ぐるみ特撮文化で育った日本人である、私の感覚のズレなのだろうか。
 
 というわけで「MAMA」の“造形”についてはやや不満が残るものの、しかし、それでありながら作品としては個人的には高い満足感があった。これはなによりドラマ部分がしっかりとしていたからだろう。
 少女たちを引き取り、気乗りもしないままに母親役をつとめるうちに、母性に目覚めるヒロイン・アナベルの演技も、その過程での個々のエピソードも実に巧く、ある種定番化したキャラクターをなぞっていくことがむしろ求められることの多い、ホラー映画というジャンルで、もう一段深く人間像を掘り下げ、それに成功しているのである。
 アナベル役のジェシカ・チャステインは、蓮っ葉なパンクロッカーという、母親適性の不足するキャラからの変身の演技が見事、また、冒頭の数カットで、娘との心中を試みる父親を演じたニコライ・コスター=ワルドーの姿は、強いインパクトがあった。
 
 やはり、MAMAのヴィジュアルが最大の難点か。
 しかし、私はこの映画は好きだな。★3つ。
posted by Sou at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画:ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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