2016年08月20日

踏み切り

 
 2006年に制作された映画なので、本来ならばその翌年あたりには輸入されていても不思議ではないのだが、どういうわけか発売は2011年末。どうしても地雷感が強く漂うところなのだが、感想としては意外な拾い物というところ。

──大規模な鉄道事故で、スクールバスに乗った小学生が犠牲になったその踏み切りでは、ギアをニュートラルに入れた車が停まると、亡くなった子供たちが後ろから車を押し始める。
 そんな都市伝説の残る街に移り住んできたヒロインは、麻薬の事故で恋人を失い、自身も薬物矯正経験を持つ少女。しかし、やさぐれたキャラというわけではなく、むしろ過去の行為に誰よりも深い後悔をいだいており、その心のゆれが、本作ではB級ホラーらしからぬ丁寧な演出で描かれている。 
 また、面白いことにこの作品では、恐怖の主体は不活発だ。
 言わば“踏み切りの自縛霊”であるそれは、主人公たちを監禁することも、チェーンソーを振り回して追いかけてくることもできない。しかし、それでもちょっとした仕掛けによって主人公とその周辺に鮮血はしぶくのだが、そう導入するあたりの工夫が、この作品の肝だろう。
 といっても、凝ったものではなく、さらに独創性にも乏しいのだが、そこにはかっての名作ホラーへの、リスペクトが感じられる内容があり、さらに注意を凝らしてみれば、名作に通じるモチーフはあちらこちらにアレンジされて、本作の製作者たちがこのジャンルに愛着を持っている人々であることが見て取れる。
 
 率直に言って、現代のホラーとしてはたたみかける迫力にも、映像の刺激性にも乏しいし、といって見終わった後に感動が残ったりするわけでもないものの、安直なモンスターのキャラクター仕立てでシリーズ化を狙わない、姿勢の潔さには好感が持てる。ただし、飽くまでこのジャンルを愛する人向きの作品で、特にホラー好きではない人にとっては、ややヌルい作品、としか感じられないかも知れない。
 
 ちなみに、DVDのジャケットは恐ろしく低予算作品めいているのだが、作品の方はなんとか劇場公開しても不思議ではない程度のお金はかかっていそうだ。一応、ルー・ダイアモンドとかも出演していることだし。★2つ半。
posted by Sou at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画:ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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