2016年08月22日

マッドネス・ヒル

 本作の監督G・キャメロン・ロメロの父親は、実はかのジョージ・A・ロメロ。
 父親と同じ仕事、しかも同じジャンルを選択しているのは“血”というもののなせる業なのだろうか。もっとも、題材に選んだのはさすがにゾンビものではなく、しかし、それ以上にアメリカンホラーの王道とも言えそうな「田舎ホラー」だ。
 
 1969年、ヴァージニア州の山林地帯。
 ワシントンへのヒッチハイクを楽しむ若者たちを乗せたトラックが、山中のバイパスルートにて故障する。
──丘を越えていけば、平行して走るもうひとつの幹線道路に出られる。
 トラックのドライバーに先導されて、山林に入る5人の若者。崩れつつある空模様を気にしつつ山中を急ぐ若者たちの視界に、一軒の農家が現れる……。
 
 まあ、タイトルからしても、そしてタイトルを見なくてもわかってしまう、この農家はやっぱりちょっとアレな家族の棲家なわけである。
 たんぱく質の補給には“旅行者”が一番、という食へのこだわりと、敬虔な信仰心の持ち主であるところはこの手の家族のお約束だが、類作とは些か異なり、彼らはそこそこに身奇麗であり、一見したところはありきたりの田舎の家族で、ごく普通にコミュニケーションをとって、たとえばその農家でお手洗いを借りたりすることも可能なのである。
 これは、食人者たちがフリークスという域をも通り越してモンスター化した『クライモリ』シリーズなどにあるような、笑いながら観るホラーに必須の、底の抜けた恐怖を排しているということでもある。つまるところ、より実話風の、グロテスクな厭らしさを感じさせられる方向に進んだ作品となっているのだ。
 
 さて、それは成功しているのか、と言えばまあそこそこ、というところか。
 網状の血管が透けて見える死体の皮を剥ぐシーンなど、結構にゴアなカットも盛り込まれてインパクトもまずまず。ストーリーの方も無難にまとまり、そこそこの予算で作成されたのだろう、大きな穴のない平均的な仕上がりという印象だ。
 ただし、やや盛り上がりに欠け、見終わった後に趣味を同じくする友人に語りたくなる類の、記憶に強く残る内容には、乏しかったように思われる。
 
 因みに、これも定番どおりにマザコンである殺人鬼の登場するこの作品を、監督は自身の母親に捧げている。プレゼントにもいろいろあるものではある。★2つ。
posted by Sou at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画:ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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